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「聞いたのね、私の病気のこと。」
翌日。見舞いに来た俺に、光姫は言った。
「…うん。彩姫ちゃんから、全部聞いた。」
「ったく、彩姫はおしゃべりなんだから。
…壮介、びっくりした?私の病状聞いて。」
「そりゃ、びっくりしなかったって言ったら、嘘になる。
でも、聞けてよかったよ。本当は光姫の口から聞きたかったけど。」
「…私のこと、嫌いになったでしょ?
いいのよ、私から去っても。無理して私と一緒にいることなんてないの。
私もう永くないんだから。」
光姫は諦めたように言った。
もう俺とは会えないと思っているみたいだった。
「全然。むしろもっと好きになっちゃった。」
「…!!」
「俺は、簡単に光姫から離れたりしないよ。光姫が辛い時は、そばにいたい。
光姫と一緒にいたいんだ。
それが俺の願いだよ。許してくれるよね?」
「うん…。」
光姫は涙を流していた。
俺は光姫を抱きしめた。
とてもか細い体だった。
「壮介…好き」
「俺も。この世で一番、光姫が大好きだよ。」
光姫が大好きだと、やっと言えた。
今までは照れくさくて、はっきり言うことができなかった。
でも、この気持ちに嘘はなかった。
光姫のそばにいられれば、それでよかった。
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