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「壮介」
「…憲哉」
「お前、なんで塾やめたんだよ?」
朝、勉強をしてる俺に、憲哉が近づいてきて言った。
「中学から通ってた塾だろ。
なんでやめるんだよ。」
「…俺は大学に行くつもりがないからだよ。
俺が志望してる専門は、面接だけ。だったら塾に通う時間はいらない。」
俺は書く手を止め、キッパリと答えた。
憲哉のリアクションを伺うと、憲哉はさほど驚いていないようだった。
いつも一緒に通っていた親友が、塾を勝手にやめたのだから、怒っていると思ったのだが、憲哉はそんなそぶりは見せなかった。
「受験に必要ないから、本当にそれだけの理由か?」
「他にどんな理由があるって言うんだよ?」
俺が少し怒って言うと、憲哉は息をついた。
「隠すなよ。
俺は、お前がそんなに簡単に塾をやめる奴だとは思えないんだよ。
もっと他に、重大な理由があるんじゃないのか?
壮介、変わったよな。
2年の頃は大学行くつもりだって言ってたのに、今は専門学校行くって言い出すし、考え方も180度変わったよな?
…何があったんだ?」
俺は再び手が止まった。
憲哉に、これ以上隠していられないと思った。
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