好き

5/6
前へ
/41ページ
次へ
「やっぱりな。 お前はそういう奴だもんな。」 「光姫は…もう永くないんだ…。 体力がなくて、手術もできないらしい。 光姫自身も、そのことは知ってる。」 憲哉が一瞬固まったのがわかった。光姫の病気の深刻さに驚いたのだろう。 「そうなのか…。」 でも、お前…好き…なんだな。その子のこと。」 「…好きだよ。 光姫の病気を知ってから、ますます好きになって、どんどん光姫が誰よりも大切な存在になっていったんだ。 自分の気持ちが止まらなくなってきて、光姫ともっと一緒にいたいって思って。」 「だから、塾やめたのか…。」 「あぁ。」 憲哉は深いため息をついて、少し笑った。 「お前らしいな。」 「そうか?」 「彼女のこと、守ってやりたいと思ったんじゃないか?」 「そうだな。そうも思ったかもしれない。」 俺と憲哉はそう言って笑った。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加