さよなら

3/8

17人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
光姫が、また笑顔を失いつつあった。 俺が見舞いに来ると、いつも震え、泣きながら抱きついてくるようになったのだ。 「怖い…怖いよ…助けて…」 「光姫…。」 かなり気が弱くなってしまっているようだった。 看護師さん達も、光姫のこの状態にはお手上げみたいだった。 前に俺を激しく叱責した看護師さんでさえ、心のケアがうまく出来ずに悩んでいた。 とりあえず落ち着かせるしかないので、精神安定剤を打ってもらい、眠らせる。 こんなことが毎日起こっていた。 「光姫…。俺はどうすればいいんだ?君に何をしてやれる?」 光姫の寝顔に問いかけてみても答えは見つからなかった。 俺は自分が悔しくてならなかった。 何も出来ない自分に、腹がたった。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加