狂気の都カルコサと一冊の魔導書

産声

俺は人ではない。

だが、人によく似ている。

俺には視力がない。

本来、視力を必要としないからだ。

しかし、様々なものが見える。

俺は空腹というものを知らない。

食事など不要ゆえ、味覚もない。

俺には感情がない。

感情を必要としないからだ。

俺は火に近づいてはならず、

水に濡れてもならない。

直射日光も避けねばならず、

乾燥した場所でなければ、

俺はすぐにボロボロになる。

そして出来るならば

誰にも触れられてはならない。