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包帯をとれば、肌は真っ黒だった。
じっと見ていると、たくさんの文字が書かれているのがわかった。
左腕の黒は、文字が集まったものらしい。
黒に右手で触れたが、汚れたりはしなかった。
右手を伸ばすと、右手が光り始めた。
なんとなく鏡、と考えていたら
光はやがて、大きな鏡を創った。
その鏡は、俺の全身が映った。
目の色は、血のような紅だった。
瞳孔はなく、曇りきっている。
こういう目は、確か何も見えない筈なのだが・・・何故俺は、
鏡に映る自分を、見ることが出来るのだろうか。
左腕を見ていたが、よく見ると胸から腹にかけて、包帯が巻かれていた。
指先まで包帯に巻かれた左手で、胸や腹に触れてみると
触った箇所によって、黒い場所とベージュ色の場所とがあるのがわかった。
だが、あくまで包帯が巻かれている状態で、触ってわかった、というものだ。
どうやらこの瞳孔がない紅い目は、見る、だけでなく見透かす、こともできるらしい。
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