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俺は口を開こうとして、喋ろうとした。 だが、口は開けても、声が出ない。 それを見て父上は、 「お前にはまだ、言葉を喋るという記述がない。 だから、喋ろうとも喋れんのだ。」 何故、ここまで人の姿をとりながら、 人のように、言葉を喋れないのか。 「・・・我と同じ「名」を持つ、魔導書よ。 魔術にて意思を伝えよ・・・今我と対峙し、何を思う。」 魔術で、俺の意思を? どう表せばいいのだ。 ・・・まず、俺は今、どんな気持ちでいるのか。 父上や「王」と対峙し、感動にも似た気持ちでいる。 だが、感動をどう魔術で表せばいい? ・・・難題すぎてわからん。 そう悩む内に、「王」が突然笑いだした。 「っははは・・・! ただの魔導書が、ここまで人らしくなるとは。 貴様の著書は、確かに最高傑作だな。」 「お褒めにあずかり、光栄至極にございます、王よ」
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