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夕焼けに染まる空。
下校。
あぁ今日も終わりかとほっと少女は息をついた。
その目は心身の疲れが滲出て、普段以上に闇に淀んで濁っている。
その原因というのは両端に歩く友人二人である。
彼女を挟んで話し込む友人二人は彼女のその様子に気付かない。
「あはは!でさぁ山内ったら………」
「うわまじ??やば目じゃない??」
「まじ引くよねー!!」
耳につく甲高い声でキーキーと耳元で騒がれ、耳がキーンとする感覚にじっとアスファルトの地面を見つめ耐え続ける。
本来ならば少女一人で家に帰るはずであった。
学校で表面上の付き合いをしている友人共に「今日一緒に帰ろう!」と言われ、普段愛想がいいと周りに言われているらしい彼女は、そのレッテル通りに行動したまで。
学校、という名の息が詰まるほどの窮屈な収容所は、少女にとってストレスを与える物で、勿論その収容所に収容された者共もしかりである。
通学鞄を握りしめ、手のひらの真ん中には脂汗が滲んでいることだろう。
少女の心の底からふつふつと衝動が―――いますぐ奴らの首を絞めて、この甲高い声が泣き叫ぶのを聞きたいという衝動が沸き起こる。
想像するだけで口元が緩んできてしまう。
(家まで我慢、我慢)
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