豹変

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他のヤツらは帰っていった。彩音達も。 俺はただ一人教室に残っていた。 とても帰れそうにない。 一人でいると、さっきのことを思い出す。すると目の奥からまた涙がこみ上げてきた。 「うっく・・ぐすっ」 「塚本・・さん?」 見ると、真島奈緒が教室に入ってきた。 「泣いてるんですか?」 「ち、違う!」 俺は急いで涙を拭いた。 「・・さっきは怒ってくれてありがとうございました。とても嬉しかったです」 真島奈緒は少し笑って言った。 「あんな事・・・いつもやられてたの?」 「・・・はい。でも止めてくれる人はいなかったです・・」 同じクラスだったのに全然気づかなかった。 いつも陰でやられてたから気づかなかったんだ。 つらくないのか? 何で誰にも助けを求めないんだよ。 「私はつらいよ。・・一人で抱えこむなんてできないよ」 「塚本さん・・」 「つらい時は泣きましょうよ!」 「え?」 「大声で泣きましょうよ!今、学校には誰もいないので遠慮せずに!」 「で、でも・・」 「気持ちが晴れるかもしれませんよ」 「・・・」 俺の中でなにかが切れた。 「うわぁぁぁぁぁぁ!!」 今までたまっていたモヤを全部出すかのように、大声で泣いた。 真島奈緒は俺が泣き止むまでそばにいてくれた。 「ありがとう、真島さん。おかげで気持ちが晴れた気がする!」 「それは良かったです」 そういって笑った。 「ねぇ、これから奈緒って呼んでいい?」 「え?」 「私の事もハルでいいから。ね?」 「え・・いいんですか!?」 「うん。それと敬語やめてね」 「は・・うん!よろしくね。ハルちゃん」 「よろしく、奈緒!」 昔の俺だったら信じられない事だ。クラスのイジメられっ子と友達になるなんて。 でも、コイツは・・奈緒は実はすごくいい奴なんだ。 俺は最後に奈緒に言った。 「私は負けないよ。明日からフツーに学校行くし、イジメとか気にしない。奈緒の事も守るから!」 奈緒はキョトンとしていたが、笑って、 「ありがとう!」 と、一言そういった。 これから何があるかなんてわからない。でも、女である限り高校生活楽しんでやる!!
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