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学校から約10分位で
病院に着いた。
「あ、山内君!いらっしゃーい」
中から田代の声がしてきた。
ここに来ると毎回思うが、
この病院には患者がいないのか?
行っても行っても、一度も人とすれ違った事がない。
(よくやってられるよな・・)
そう考えながら中に入っていった。
「なんだよ、用事って」
「うん。これからの事なんだけどね、
山内君が女としてやっていくには
このままだと限界があると思うんだ」
「どういう事だよ?」
「山内君は体があんまりガッシリしてないから後ろからみたら全然女の子に見えるんだけど・・」
胸に突き刺さる言葉があった気がしたが、田代は気にせず話を続けた。
「前からみたら顔以外は正直
・・・男だよね?」
「ちょっと待て!
まさか、また俺のアレを切断しようと企んでいるのか!?」
「ち、違うよ~!でもやりたいかも・・
じゃなくって、
胸がないのは後々面倒になるって事!」
「そうか~?」
「そうだって。
体育で着替える時とか、身体測定の時とか・・何気ないところで、女の子は他の人の胸を確認してるんだよ!」
マジで?
・・・怖ぇな。
「そんなこと、男の俺に言ったってどうしようもねーよ?」
胸はこれ以上大きくなんねーし。
当たり前だけど。
「ふっふっふ…
そんな事はないのだよ、山内君」
田代が怪しい笑みを浮かべた。
「ちょっと待ってて」と言って、奥の部屋へと入っていった。
「お待たせ~」
1分もしないうちに部屋から出てきた。
手には、なにか肌色のものが握られていた。
「何だよ、ソレ」
「胸だよ、む・ね!」
とても満足そうに、
手に握られていたその『胸』を見せてきた。
それは、かなりリアルで、見た目は女性についている『胸』だ。
「ぶはっ!(鼻血
な、何だよそれは!?」
「あはは、すごいでしょ?
完璧女性の胸に見えるでしょ。感触も同じなんだから~」
やばい、鼻血が止まらねー!!
「せっかくだから付けてみてよ。
人工胸をつける用の接着剤は用意してあるから」
「や、やめ・・」
鼻を押さえながら、抵抗している俺をスルーして、無理やり『人工胸』をつけられた。
上半身に不自然な重みがあった。
どんなことになったかと、鏡の前に立ってみた。
「・・ひ、ひぃぃぃぃぃ!!」
そこに映っていたのは、
完璧女の子の姿になった俺だった。
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