天使の戯言

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      屋上の端にいた少年   何故かまっすぐ少女を見ていた             『あんた、私に話し掛けてるの?』   『そうだよ』   『……見えるんだ』   『みたいだね』   『………変な奴。人間め』             少女は笑いもしない、怒りも悲しみも喜びも・なんの感情も無い表情 ただ微かな驚きだけ         少年も、にこりともしない           『どうして、あんな事思ったの?』   『あんな…事…?』   『愚かだって』           この学校の制服なのか、よく見かける黒の服を着ている 肩に届く少し長めの髪が風になびく     心底そう思ったのか、まっすぐな目が少女には少し欝陶しかった             『……一時の感情で、あんな涙を流すなんて私には分からない。たった数か月で人を好きになったり、それを恋だと騒いだり、悩んだり……挙げ句の果てには恋に破れて泣いたり』   『………』   『私には分からない感情だらけ』   『人を好きになることが?』   『全てが』             少女の目線には先程の女子生徒   まだ泣いていた
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