3.

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カップから口を離して、隣を見れば夏唯が……また反則すぎる笑顔で俺を見ていた。 「な、なにっ」 「別に何も?」 ぅうっ……何もないなら、そんな顔で見ないでほしいっ。 心臓がもたないっ! 「琉華」 「ん?」 振り向いた瞬間、額に当たる暖かい感触。 「ふゎ……っ」 き、キスされたっ!! 「か、夏唯?!」 なんか変じゃないっ?! 様子がおかしくない?! 頭のてっぺんから、つま先までゆっくり眺めて、黒い瞳に視線を戻す。 「夏唯、何かあったのか?」 「何もないが?」 逆に首を傾げられてしまった。 「変だよ……」 「ん?」 「……生徒会室ではあんなに不機嫌だったのに、急に機嫌が良くなるし……変」 じーっと見つめていると、フッと口元を緩めて笑う夏唯。 「どうして琉華と一緒にいるのに、不機嫌になる必要がある?」 「へっ?」 なんかさ、殺し文句言われたような気がするんだけど…… 「琉華」 って、腕を伸ばしてくる夏唯。 誘われるように、身体を近付けるとぎゅうっ、と抱きしめられた。 「……夏唯?」 やっぱり様子がおかしい…… 抱きしめられているのは俺の筈なのに、なんだか夏唯に甘えられてる気分なんだけど。
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