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ディーン大尉だった。ディケンズ捜査官と同じ内容のARDを見ながら続ける。
「この情報泥棒なんか見たまえ。実に巧妙にあいてのInPNTから金になりそうな個人情報を盗んでいる。普通なら見逃してしまいそうなくらいだ。どうしてこの男が怪しいと睨んだ?デッカード君」
あの冷たい黒い瞳が彼女を捉えた。背筋に緊張を覚えながらも、平常心を装い応える。
「この様な場所に男性が一人だけという点がまず気になりました。次に態度、物色しているような素振りだったので奇異に感じました。確信したのは、私の視線を反らした時の雰囲気です。あとは・・・勘です」
「雰囲気に勘か・・・恐ろしく前時代的だね」
ディケンズがまた冷笑を交えて口を挟む、それを打ち消すようにディーン大尉。
「敵を倒す手法に時代もクソも関係ない。確実に相手を追い詰られるなら、合理的だろうが非合理的だろうが関係なく利用させてもらう」
そして、エリナを見据えながら大尉は続けた。
「明日もよろしく頼む、デッカード副保安官」
その言葉に、敬礼で返し、エリナは黙って本部を辞した。一秒でもこの場に居たくなかったからだ。
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