第二章 見知らぬ地で

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「……い……こ」 ……遠くから声が聞こえる…… なんだか、温かくて気持ちがいいな…… 「おい!香子!!」 我に返って、香子は目を開けた。 目の前には斗哉の顔のアップ。どうやら自分は斗哉に上体を抱きかかえられている体勢のようだ。 「ぎゃあああああ!!!」 思わず、斗哉を突飛ばした。 「……っ痛!何すんだよっ」 「ご、ごごごめんっ!つい……」 な、なんで目を開けたら斗哉が超接近してんの!? 何これ!?どゆこと!? 香子は動転し、思考が混線している。 そんな様子を見て、斗哉は溜息を漏らす。 「……まぁいい。それよか、ここ、どこだと思う?」 「どこって……あれ?」 見回すと、そこはまったく覚えのない部屋の中だった。 今自分が寝ていたベッド、 妙な柄のタペストリー、 タンスの上には知らない顔の写真立てが数個。 混乱していると、ドアをノックする音が聞こえた。
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