第二章 見知らぬ地で

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コンコン。 カチャ。 一拍置いて、ドアが開いた。 「あ、二人とも、目を覚ましたんだね」 ずんぐりとした体型の男が言った。手にはカップが二つ乗ったトレイを持っている。 「あの……失礼ですが、ここは……?」 「私の家さ。うーん……多分ね、君達の世界から離れた場所かな」 「は……?」 男の突拍子もない答えに、二人は顔を見合わせた。 はい、と温かい茶の入ったカップを二人に手渡して、その男は続けた。 「ここはエイノス。君達はディズから来たんだろう?」 知らぬ地名を逆に質問されて、斗哉は戸惑った。 「いや、ごめん。そんな事をいきなり言っても、混乱させるだけだね。君達は……」 優しげな口調で言いかけたその時、家の外から、人の叫び声が聞こえて来た。 「な、何!?」 「ム、来たか!?」 険しい表情で、その男は立ち上がった。
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