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間違いなく、沙和の姿だった。
向こうもこちらに気が付いたようだ。
しかし、ものすごい剣幕でこちらに向かって走って来ている。
男は、沙和の方へ走り出した。
ニ人も後を追おうとしたが、
「君達は下がっていて」
と男に指示されその場にとどまった。
沙和は二人の元に辿り着くなり、慌ててしゃべり始めた。
「あああああの、あ、あいつらが…とと飛んで、すごい沢山で…!」
「沙和、落ち着け、ゆっくり話せって」
「え、えっと…だから…」
しかし、沙和が落ち着きを取り戻す前に、それはやってきた。
空を飛ぶ、グレーの集団。
「ぎゃーー!!!!」
沙和が叫んだ。
「なんだよアレ!!!」
斗哉と香子は目を疑った。
スピードを出して迫って来る。こちらを狙うが如く、低空飛行になった。
「おっさん!!危ねぇ!!」
沙和と入れ代わりに前に飛び出していった男に、斗哉が叫んだ。
すると、一瞬だけこちらを振り返り、また集団に向かった。
「おい!!!!」
男は斗哉の声を無視して、ポケットから何かを取り出し、ぶつぶつと呟き始めた。
集団はもう、男の至近距離まで来ている。
だめだ、逃げられない!
「ぃやあああああ!」
香子は目を覆った。
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