第二章 見知らぬ地で

7/17
前へ
/221ページ
次へ
間違いなく、沙和の姿だった。 向こうもこちらに気が付いたようだ。 しかし、ものすごい剣幕でこちらに向かって走って来ている。 男は、沙和の方へ走り出した。 ニ人も後を追おうとしたが、 「君達は下がっていて」 と男に指示されその場にとどまった。 沙和は二人の元に辿り着くなり、慌ててしゃべり始めた。 「あああああの、あ、あいつらが…とと飛んで、すごい沢山で…!」 「沙和、落ち着け、ゆっくり話せって」 「え、えっと…だから…」 しかし、沙和が落ち着きを取り戻す前に、それはやってきた。 空を飛ぶ、グレーの集団。 「ぎゃーー!!!!」 沙和が叫んだ。 「なんだよアレ!!!」 斗哉と香子は目を疑った。 スピードを出して迫って来る。こちらを狙うが如く、低空飛行になった。 「おっさん!!危ねぇ!!」 沙和と入れ代わりに前に飛び出していった男に、斗哉が叫んだ。 すると、一瞬だけこちらを振り返り、また集団に向かった。 「おい!!!!」 男は斗哉の声を無視して、ポケットから何かを取り出し、ぶつぶつと呟き始めた。 集団はもう、男の至近距離まで来ている。 だめだ、逃げられない! 「ぃやあああああ!」 香子は目を覆った。
/221ページ

最初のコメントを投稿しよう!

101人が本棚に入れています
本棚に追加