101人が本棚に入れています
本棚に追加
「いやぁ、ハッハッハ!皆、無事で良かったよ!!」
家の中で少し休息すると、男は体力を取り戻したらしく、陽気に豪快にその大きな腹を揺らして笑った。
「あ、あの、本当にありがとうございました!!僕、もう駄目かと思いました…」
沙和が一礼した。
そしてすぐに、
「お名前は…?」
と付け足した。
すると男はまた笑って、
「名乗る程の者じゃあないさ…。なんてね、ハッハッハ!一度言ってみたかった台詞さぁ!」
「あ、あははははは」
沙和は作り笑いした。
「ハハ、失礼。私はユラシルだ。おっ。ありがとう、客人にこんな事をさせてすまないね」
香子が人数分の茶を入れて戻って来た。
「い、いえ…いつも家でやってることですから…」
沙和と斗哉は、カタカタと震える香子の手を凝視する。
「ど、どーぞ。」
少しずつ中身をこぼしながら、不慣れな様子でカップをそれぞれに渡すと、ふぅ、と大きな安堵の溜息が出た。
沙和と斗哉も、ふぅ、と息をついた。
最初のコメントを投稿しよう!