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「ユラシルさん。さっきの奴等を、一体どうやって倒したんですか?」
三人が今最も気になっていることだった。
ユラシルは、にっこりと笑って、先程の小さな球状のものをポケットから取り出した。
「これは…さっきの…」
ただのガラス玉のように見える。あの時は光を放っていたが、今はせいぜい、周りの光が反射してキラキラする程度で、特別なものには感じなかった。
「この玉はね、私が発明したものなんだ。これには、空気中の分子を集めて、乱運動させる働きがある。その乱運動の威力が増すと、さっきのような爆発が起こるんだ」
「空気の…乱、運動ですか」
「あぁ。もっとも…それは、この地の空気だから起こせることなのかもしれない」
「あっ、そういえば!」
香子は、最初に家の外に出た時の感覚を思い出した。
「そういえば…私、思ったんです!ここの空気は、私が住んでる場所と全然違うって」
沙和と斗哉は顔を見合わせた。
「そうかな?」
「さぁ?」
ユラシルはウンウンとうなずいた。
「君は空気調律士の素質があるかもしれないね…」
「?」
香子は耳慣れない言葉に、不思議な表情を見せた。
「まぁ…それはさておき…。それじゃあ、ここと君達が住んでいた場所が違うことはわかったね?」
三人が頷くのを確認して、ユラシルは続けた。
「君たちは、ここにくる前、不思議な体験をしたと思う。時空の歪みを通ってここへ来たと思うんだ」
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