第二章 見知らぬ地で

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「え…僕達帰れるんですか!?」 「ああ。帰れるはずなんだ。空気の流れから、歪みが生じるパターンを読む。この長い年月、ボーッとただ見て過ごしている訳じゃあなかったんだよ」 「そんな…。さっきの、空玉、とかいうものを発明しただけでも、凄いと思うのに…」 香子は独り言のように呟いた。 「私の能力はね、空気を感じることなんだ。全てはその流れから生まれる」 そう言って、ユラシルは棚から紙切れを取り出して来た。どうやら、この地の周辺地図らしい。 それを開いて、指を差しながらブツブツと喋り始めた。 「…うん。ここしかないだろう!」 パチン、と指を鳴らした。 「わかったんですか!?」 三人の目が輝く。 「今夜、この村を出て近くの河辺に、歪みができるはずだよ」 ユラシルの言葉に、それぞれが歓声をあげた。
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