第二章 見知らぬ地で

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ホー。 ホー。 梟に似た鳴き声が、河辺をこだましている。 「本当に、戻れるかなぁ…」 沙和がふと不安を口にしたのを聞いて、ユラシルはにっこり笑った。 「もうすぐわかるさ」 水面に、月や星の光が映っている。 「こっちの世界も、空の景色はキレイですね」 「あぁ。ディズも、夜空には月や星が見えるんだろう?」 「はい。私達の地元は田舎なので、もう満天の星空が見られますよ!」 そう言って、いつもあのアーケード街から、三人で見上げた空を思い出す。 「…ユラシルさん」 そう呼ばれて振り向くと、斗哉が頭を下げた。 「色々、生意気な口聞いて、すいませんでした」 「はははは!気にすることはないよ!君の行動は正しい。見知らぬ土地で、見知らぬ人間を無条件に信用するのは、危険過ぎる。少しぐらい疑ってかかるのが丁度いいのさ。君は、しっかりした子だ。あの二人を引っ張って行かないとなぁ」 斗哉の肩をポンポン、と叩いた。 「さぁ、そろそろ、歪みが現れる時間…」 そう言いかけた時だった。 木陰で、ザザッと音がした。 ユラシルが敏感に察知し、素早く振り向く。 「誰だ!?」 暗がりで見えにくいが、それは、同一色の服を着た人間。 グレーの集団であった。
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