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香子がいない…。
斗哉と沙和は、それから街中を探し回った。
もちろん自宅にも訪ねたが、まったくその影はなかった。
嫌な予感が、ふたりの脳裏を霞める。
あの時…
光に包まれたあの時…
俺は、確かに香子の手を握っていた。
握っていたはずだ…。
「くそっ!!!!」
斗哉は自分を責めていた。
香子の手を握っていたはずが、ディズに戻ってきた時にはもう、その感覚さえ失われていた。
「一体いつ…手を離しちまったんだよ…!くそが…!」
「斗哉くん…落ち着いてよ。もしかしたら、この街の外に、香子ちゃんは飛ばされたのかもしれないじゃないか…。」
「……」
わずかな期待にすがるしかなかった。
しかし、二人は考えずにはいられなかった。
もし、香子が、ディズへ戻っていないとしたら。
エイノスに、とり残されているとしたら。
今頃は…。
必死で不吉な考えを振り払おうとしたが…
二日。
三日。
無情にも、月日は流れていった。
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