第三章 帰還

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エイノスから帰還して、一週間が過ぎた。 依然として、香子の消息はわからないままだった。 三人があの緑色の光に飲込まれた翌日に、それぞれの身内によって捜索願いが提出されていた。 斗哉と沙和は、帰還して解除されたが…香子に関しては、今でも警察の手によって捜索が続けられている状況だった。 神隠し事件の被害者が行方不明になり、その後発見された事例は今までにはなかった為、二人はかなりの時間を事情聴取に費やすことになってしまった。 沙和は自分の身の回りに起こったことを、一部始終…話そうとしたが、警察は全くまともに取り合ってはくれなかった。 いや、まともに取り合うどころか事件の後遺症による精神障害を心配された程だった。 斗哉はそうなることを理解してか、真実を話そうとはしなかった。 それぞれが警察とやりとりしている中…やはり意識は、香子の所在に集中していた。 そして、その沙汰が一段落した今。 二人の中で確信さぜるを得なくなった。 もし、香子も帰還しているとすれば、こんなに長い間、発見されずにいるはずがない。 そして…一つの、決心をした。
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