101人が本棚に入れています
本棚に追加
近頃、テレビや新聞で毎日のように取り上げられている物騒なニュースがある。
『〇〇村、また行方不明者』
『あの少年は、今何処へ?』
相次ぐ失踪事件が、世間を騒がせている。
マスコミや警察は、あちらこちらでその事件に踊らされているが、手掛かりとなるものはまだ何ひとつ見つかっていないらしい。
何者かによる誘拐事件だろう。
そう踏んではいるが、その確証となるものは何もない。残された手掛かりも無ければ、現場を見た者は被害者以外には誰もいないのだ。
しかも、その事件には規則性が無く、いつ、どこで起こるのかもわからないから、手の施し様がない。
被害者の親族は、行き場のない怒りと悲しみに明け暮れた。
頻発する失踪に、住民達はただただ、漠然とした不安に晒されている。
――神隠し。
いつしか、そんな言葉が囁かれるようになっていた。
最初のコメントを投稿しよう!