第一章 現れた、歪み

2/5
前へ
/221ページ
次へ
近頃、テレビや新聞で毎日のように取り上げられている物騒なニュースがある。 『〇〇村、また行方不明者』 『あの少年は、今何処へ?』 相次ぐ失踪事件が、世間を騒がせている。 マスコミや警察は、あちらこちらでその事件に踊らされているが、手掛かりとなるものはまだ何ひとつ見つかっていないらしい。 何者かによる誘拐事件だろう。 そう踏んではいるが、その確証となるものは何もない。残された手掛かりも無ければ、現場を見た者は被害者以外には誰もいないのだ。 しかも、その事件には規則性が無く、いつ、どこで起こるのかもわからないから、手の施し様がない。 被害者の親族は、行き場のない怒りと悲しみに明け暮れた。 頻発する失踪に、住民達はただただ、漠然とした不安に晒されている。 ――神隠し。 いつしか、そんな言葉が囁かれるようになっていた。
/221ページ

最初のコメントを投稿しよう!

101人が本棚に入れています
本棚に追加