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「まさか、僕達の学校から行方不明者が出るなんてね……」
「ホント……私なんて、昨日まで普通に挨拶してたんだから!信じらんないよ……」
沙和(サワ)と香子(キョーコ)は、自分達の学校で起こった神隠し事件について話していた。
いつもはテンション上がりっ放しの二人だが、そんなことがあったせいで、今日は暗いムードが漂っている。
「こんだけ広まってる事件なんだから、いつ身近に起こったっておかしくはなかったろ」
やや冷めた声で言ったのは、斗哉(トーヤ)だ。
「そりゃそうだけど……」
「何それ、なんでそんな他人事な訳……?」
斗哉は、湿った顔で非難する二人を横目で見ながら、
「他人事じゃねぇか。巻き込まれたのが自分じゃなくて良かったよな」
と呟いた。
「ど……どうして、アンタって奴はいつもそういう……っ」
香子は、今にも怒りの拳を振り降ろさんとしているが、沙和がかろうじてそれを引き止めている。
「香子ちゃんっ……まぁまぁまぁ……」
「沙和も暴力女の世話、大変だなぁー」
「ぼ、暴力女って誰のことよ~っ!?」
「お前しかいねぇだろ、女にみてやっただけ感謝しろよ」
「キーーーっっ!!!!」
「もう、斗哉くんったら!!」
面白半分に香子を茶化す斗哉。
斗哉の言葉に怒りを煽られる香子。
必死で止める沙和。
そんなやりとりで、先程までの暗い雰囲気は飛んで行き、いつもの賑やかな三人の調子が戻ってきたのだった。
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