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少女の失神と同時に私は目を覚ました。
この時期、まだまだ夜は薄ら寒いと云うのに、嫌な類の汗が背や首筋を濡らしている。
寝間着のシャツの袖で汗を拭いながら、先程見た不気味な夢を思い出す。体が震えて歯が上手く噛み合わず、ガチガチと歯のぶつかる音が鳴った。
どうして、畏れたのだ。
あんなにも幸せそうだったじゃないか。
ずっと一緒だと誓って居たじゃないか。
腐敗すら喜んで居たのに、今更白骨化したぐらいで何故そんなに怯えたのだ。
貴女が其の首を見捨ててしまったら、墓場から中途半端に引きずり出された彼の魂はどうすれば良いのだ。
愛は、どうなってしまったのか。
急に吐き気を催した。
とっさにベッドの下に有ったごみ箱を引き寄せて、其の中に嘔吐してしまった。喉から口内にかけてが焼け爛れそうな程熱い。吐瀉物に加え、涙も止まらなかった。
ごみ箱を胸に抱いた侭、ぐちゃぐちゃに汚れた顔を拭う事もせず、私は唯嗚咽しながら泣き続けた。
悲しかった訳でも怖かった訳でも無い。
唯々、虚しかった。
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