At least

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   結局、一睡も出来ぬ侭朝を迎えた。 泣きはらした事と眠らなかった事に寄り、目元は真っ赤になってしまっていた。   鈍った体に鞭打って学校には来たものの頭痛はする上に思考が纏まらない状態だったので、心配する友達には寝不足とだけ伝え(決して嘘では無い)、保健室で休む事にした。 保険医は居なかったが、勝手に窓側のベッドを拝借する事にした。さらりとしたシーツの肌触りが心地良く、次第に瞼が重くなる。 しかし、あともう一歩で落ちる、と云う所で妙な違和を感じて体を起こした。   体を起こしてすぐ視界に入るのは、綺麗に磨かれた窓だ。その窓の向こう側では、校庭で体育の準備運動をしている同級生達が見える。そう云えば今日はハードル走のテストだったな、などと考えながらぼんやりと友人の姿を目で追う。   其処でふと或一点に視線が止まる。   此処から良く見える場所に、あの桜の木が有った。
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