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かれこれ何日歩いただろうか、しかし私達の望む景色が見える兆しは無かった。不変と思っていた貴方もじわじわと変化を始め、腐敗現象を起こしていた。
貴方を抱えた腕を少し動かせば、ずるり、と骨から肉の落ちる感触が走る。呼吸をする度に腐敗臭が肺を満たした。
しかしそれを不快だとは全く思わない。日毎に彼の本質が露わになる感覚がまた私に至福の酩酊感を与える。
疲れも焦燥も不安も、貴方が一緒ならばそれは実に瑣末な問題だ。愛し合える存在が傍に居て、疲れる理由も焦る理由も有る訳が無い。
きっともう直ぐ一緒になれるから。
何度口にしたかも忘れてしまった科白を再び囁くと、私は貴方を抱え直してまた歩き始めた。
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