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むかしむかし国境のとりでのあたりに占いの上手な人がいた。
ある日、その馬は理由もなく突然どこかに逃げ出してしまった。人々は皆
「残念ですね」
と同情した。しかし彼は
「これは何かいいことが起こるぞ」
と言った。
数ヵ月後、その馬が異民族の足の早い馬を連れて帰ってきた。人々はお祝いを述べたが、彼は
「何か災いが起きるに違いない」
と言った。
数年が経つと、彼の家は優れた馬をたくさんもつようになり、彼の息子は乗馬を始めた。
するとある日、その息子は馬から落ちて、太ももを折ってしまった。人々は
「不運なことでしたね」
と言ったが、その占いの上手な人は
「これがきっと福になるだろう」
と言った。
1年後、異民族の大軍がとりでに攻めてきた。一人前の大人たちは皆戦ったが、死んだものは十中九人にものぼった。しかしこの息子だけは片足が不自由と言う理由で、父子ともども無事であった。
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