~10年ぶりの再会~

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櫂と外に出るのは嫌だった。 スーツ姿の櫂にオシャレもしていない人妻… なんとなく、釣り合わない気がして栞はそわそわしていた。 見馴れた街を走るベンツ。あちこちに栞と櫂の思い出の店が立ち並ぶ… 栞は甘酸っぱい感情に押し潰されそうになりながら、必死に櫂に話し掛けた。 櫂も慣れない車の運転のせいか言葉はあまり発しなかった。 結局1時間ほど街をぐるぐるして、ファミレスへ戻った。 車を停めて30分。 また他愛もない話をした。 ―17:30― 栞は 「そろそろ帰りますね」 と櫂に告げた。 すると櫂は 「木下…」 栞を呼び掛け、キスをしてきた。 栞もそれを自然と受け入れた。 「木下…好きだよ」 懐かしい櫂の声。 栞はギュッと櫂にしがみついた。 「櫂さん…栞も…」 再び唇を重ねて、名残惜しさの中、二人は帰るという結論を出した。
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