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櫂と外に出るのは嫌だった。
スーツ姿の櫂にオシャレもしていない人妻…
なんとなく、釣り合わない気がして栞はそわそわしていた。
見馴れた街を走るベンツ。あちこちに栞と櫂の思い出の店が立ち並ぶ…
栞は甘酸っぱい感情に押し潰されそうになりながら、必死に櫂に話し掛けた。
櫂も慣れない車の運転のせいか言葉はあまり発しなかった。
結局1時間ほど街をぐるぐるして、ファミレスへ戻った。
車を停めて30分。
また他愛もない話をした。
―17:30―
栞は
「そろそろ帰りますね」
と櫂に告げた。
すると櫂は
「木下…」
栞を呼び掛け、キスをしてきた。
栞もそれを自然と受け入れた。
「木下…好きだよ」
懐かしい櫂の声。
栞はギュッと櫂にしがみついた。
「櫂さん…栞も…」
再び唇を重ねて、名残惜しさの中、二人は帰るという結論を出した。
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