第一章~ビーストハンター~

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銀貨が健全な形で崇拝者の手にある事で女神アルシアの力は増大し、世界を覆う光の力は強まっていった。 徐々に強まっていく光の力を恐れた邪神オルテガは、漆黒の闇にその身を隠した。 女神アルシアを崇拝する者達は、ホリア教団を設立しアルシアを守るために騎士団をも作った。   邪神オルテガを崇拝し力を与えられた者達は、密かにガイア教団を設立。 力の弱い人間、精霊や動物を次々に殺しその血を邪神オルテガに捧げた。 乾いた血は黒く染まり、やがて野を漆黒に染め始める。 オルテガの力が増すと、ホリア教団を抜けガイア教団に移る者も現れ始めた。 銀貨を得た邪神オルテガは、その銀貨に邪悪な魂を吹き込んだ。 邪悪な魂を吹き込まれた銀貨はその輝きを失って錆び付き、女神アルシアの力は徐々に衰えていく。 そうして弱っていった女神アルシアは、完全に力を増した邪神オルテガの魔力によって古塔の中へと封印されてしまった。     世界から光は消え、空には暗雲が立ち込め漆黒の闇に覆い尽くされた。 この日は後に「運命の日」と呼ばれる。 邪神オルテガの邪悪な魔物達は世界全土に広がり、生き残ったホリア教団の人間は古塔から遥かに離れた地へと追いやられた。     やがて、ホリア教団は魔物に対抗し、古塔の封印から女神アルシアを解き放つための組織を結成。     それが、『ギルド』である。   銀貨に邪悪な魂が吹き込まれ生まれた魔物、“ビースト”。 ギルドはその“ビースト”を倒し銀貨を回収する者、ビーストハンターと呼ばれる新たな戦力を生み出した。 ある者は剣を振るい、ある者は魔術や特別な力を使い、あらゆる手で銀貨を集めた。   ホリア教団は、銀貨を溶かしもう一度女神アルシアの姿と豊穣を願う麦の絵が彫られた銀の硬貨を造り出した。 その輝きに同調するように、古塔から溢れ出る光もまたその輝きを増していった。 銀貨は錆び付いても尚、その力を失ってはいなかったのだ……――           ――……それが、この銀貨だ。」   そう言ってプロトは、懐から一枚の錆び付いた銀貨を取り出し、頭上に持ち上げて見せた。
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