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「思わないわよっ」
渾身の力をこめて睨む。
が、
「すぐに気は変わると思うよ? 俺、振られたことなんて一度も無いし」
なんていいながら、白石は私の腕を掴んできた。
それにしても。
こんなことなら、いくら近道だからって、人気(ひとけ)の少ない中庭を横切るのは辞めればよかったわ。
唇を噛むが、もう遅い。
私の腕を掴む白石の力は存外に強く、振り払うことなんて出来そうになかった。
「放してよっ」
「キスしてくれたら、放してあげる」
余裕を携えた笑みが、私に向けられる。
あー、もう!
誰よ、こんな男を振らなかったっていう女共はっ!!
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