3 同棲の始まり

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「じゃあさ、心配させちゃうから、電話で話してくれない? 素敵なフィアンセと一緒に暮らすって」 店から出ると、須藤さんはケータイを取り出した。 自分のことを照れもなく「素敵」と表現できる当たり、ちょっと変わった人に違いない、と心のメモに書いておく。 「ねぇ、車は?」 「明日まで預かってもらうから心配ない」 言いながら、電話を掛けている。 「須藤です。  ええ、そうですよ。お嬢様もこちらにいらっしゃいます。  そして、決心がついたと仰っていますので、変わりますね」 丁寧な口調でそういうと、私にケータイを渡す。 「お父さん?」 「マーサ、私たちに気を遣ってそういう風に言ってるんだったら……」 「違うわよ、お父さん。  そんなんじゃないわ。私、キョー兄ちゃんのこと思い出したの」 「……本当に?」
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