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「お水でも、飲む?」
「……はい。
でも、須藤さん。私の着替えとかってないから、やっぱり今日は家に……っ!!」
グラスに氷を入れ、ペリエを持ってきた須藤さんは、ソファに座ることも出来ずに立ち尽くしていた私を突然腕の中に抱きしめた。
家に帰ると同時に、スーツの上着を脱いでしまったので、シャツ越しに分厚い胸板を感じてしまう。
「やっ」
お酒の匂いと、香水の匂いが鼻腔を擽る。
「マーサ。そんなに他人行儀に呼ばないで?
でないと俺も、花宮さんって呼ばなきゃいけなくなっちゃうから」
「で、でも……っ」
抱き寄せられた腕の中で身じろぎひとつ出来なく、固まってしまう。
「いいよ。
マーサが約束してくれるまで、放してあげない」
低い声が、何故か優しく耳元に降りてくる。
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