3 同棲の始まり

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「マーサ。  俺は犯さないって言っただけで。  キスしない、なんて言ってない。それにほら、ずーっと昔にキスした仲じゃない?」 ゆっくりと、須藤さんの唇が頬に近づいてくる。 その、温かい息が頬に触れる。 「す、どうさん?」 「そっか。  意外と俺にキスされたいんだね、マーサちゃん」 くすり、と笑う息すらも、頬に触れる。 ぞくり、とした感覚が背中を走る。 けれど、一番怖いのはそれが『嫌』じゃないってこと。 「きょ、キョーヤさんっ」 私は無理矢理言葉を引っ張り出してきた。 ちぇ、と。 子供が拗ねたような音を出すと、キスする寸前で動きを止めた、須藤さん、じゃなくて響哉さんはその手を緩めてくれた。 「こちらにどうぞ、お嬢様」 黒い革のソファに腰を下ろせば、ふかりと私を受け止めてくれる。
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