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「マーサ。
俺は犯さないって言っただけで。
キスしない、なんて言ってない。それにほら、ずーっと昔にキスした仲じゃない?」
ゆっくりと、須藤さんの唇が頬に近づいてくる。
その、温かい息が頬に触れる。
「す、どうさん?」
「そっか。
意外と俺にキスされたいんだね、マーサちゃん」
くすり、と笑う息すらも、頬に触れる。
ぞくり、とした感覚が背中を走る。
けれど、一番怖いのはそれが『嫌』じゃないってこと。
「きょ、キョーヤさんっ」
私は無理矢理言葉を引っ張り出してきた。
ちぇ、と。
子供が拗ねたような音を出すと、キスする寸前で動きを止めた、須藤さん、じゃなくて響哉さんはその手を緩めてくれた。
「こちらにどうぞ、お嬢様」
黒い革のソファに腰を下ろせば、ふかりと私を受け止めてくれる。
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