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それにしても、と、注がれたペリエを喉に流しながら思う。
調度品は一級品。
このリビングは、すみずみまで、まるでモデルルームのように片付いている。
「すど……響哉さんって、パパの同級生なんですよね?」
「そうだよ」
こっちは、水ではなくウィスキーをロックで飲みながら応える。
一応、二人の間に距離はある。
およそ、10センチくらいの、ぎこちない距離。
「じゃあ、今年36歳?」
「そう。ぴっちぴちの年男」
「年男にぴっちぴちとかあるんですか?」
「一応ね。
ほら、さすがに96歳とかになるとそうは形容できないだろうし」
「……何歳まで生きるつもりなんですか?」
「ん? それはもう、マーサちゃんを看取るまでは生きようって15年くらい前から決心してるよ」
さらり、と。
そんなことを言う。
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