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「……本当に?」
その言葉は、何故かひどく温かくて私は思わず、10センチの距離を5センチにまで縮める。
「ああ。
だから、マーサは何も心配しなくていい。
俺は真一や朝香ちゃんみたいにお前を独りになんてしないから」
な、なんなんだろう、この人は。
確かに私の記憶にはないけれど、それでも、そこはかとなく懐かしい匂いがして。
そして、彼の仕草や時折零す気障な言葉に、心臓が鷲掴みにされていく。
……えーっと、オッサンだから。パパと同い年の。
幾度も、幾度も自分に言い聞かせているのに。
「心配しなくていいからね」
肩に手を回してそう囁かれたとき、私にはもう、その手を振り払おうなんて気持ちが微塵も起きなくなっていた。
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