1 突然の来訪者

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彼は躊躇うこともなく私の傍までくると、そっと手を取って、私が呆気にとられている間にあろうことか手の甲に唇づけた。 「ちょちょちょ……っと。  何するんですかっ!」 思わず裏返った声が出る。 「何って、久しぶりだね、プリンセスっていうご挨拶に決まってるじゃない?  ああ、再会のキスは唇にして欲しい派?」 言うと、いとも簡単に私の顎に長い指をかける。 「うわぁああっ。  待って、待ってくださいっ」 危うくファーストキスを奪われそうになった私は、近づいてきた綺麗な顔を止めるべく、声をあげる。
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