19 キス以上

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「帰ったぞ」 玄関の方で声がする。私は弾かれたように顔をあげて、玄関に向かう。 「……また、どっかに逃げ出すの?」 佐伯先生は困ったようにため息をつく。 「違うんですっ。  その、ここから逃げ出したりはしないけど、あの」 薄暗い玄関の、電気をつけた佐伯先生は意味ありげな笑いを唇に乗せる。 「おや、顔が真っ赤じゃない。アイツに何かされちゃった?」 涼しい顔で、冷静に分析してくれなくていいですから。 「友達なんですよね?  なんとかしてくださいっ」 私はほとんど涙目で先生に訴えていた。
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