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「帰ったぞ」
玄関の方で声がする。私は弾かれたように顔をあげて、玄関に向かう。
「……また、どっかに逃げ出すの?」
佐伯先生は困ったようにため息をつく。
「違うんですっ。
その、ここから逃げ出したりはしないけど、あの」
薄暗い玄関の、電気をつけた佐伯先生は意味ありげな笑いを唇に乗せる。
「おや、顔が真っ赤じゃない。アイツに何かされちゃった?」
涼しい顔で、冷静に分析してくれなくていいですから。
「友達なんですよね?
なんとかしてくださいっ」
私はほとんど涙目で先生に訴えていた。
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