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先生はスーパーのビニール袋を持って歩き出す。
私は仕方がなくその後についていく。
「だいたいなぁ、須藤。
結婚の前に結納だろ? それを済ませるのがお前の最優先事項なんじゃねーのかよ。
それをしないから、いつまでたっても花宮に言いたいことも言えないんじゃない?」
佐伯先生は、一気にそう捲くし立てた。
「佐伯」
ことさら威圧的な低い声で、響哉さんがそれを制する。
佐伯先生は、ふぅ、と深い深いため息をつく。
「また逃げるの?
それならそれでいいけどさ。いい加減、自分が我侭言うたびにどれほど周りに迷惑がかかるのか見える年頃になったんじゃねーの?
いくら世間知らずのボンボンでもさ」
……世間知らずの、ボンボン?
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