19 キス以上

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「響哉……っ」 私は響哉さんの手を掴む。 ふっと、我に返ったのか彼の力が抜けていく。 「……佐伯、お疲れ。  後は俺がやる。  ああ、俺と朝香さんが共演した映画のテープ、次に持ってきてくれない?」 響哉さんは疲れた声を搾り出す。 佐伯先生は何か言いたそうな顔をしたが、ふっと表情を緩めて私を見た。 「テープの手配は了解した。  明日は7時に迎えに来る。  花宮、嫌なときはちゃんと嫌だって言えばきっと、須藤だって分かってくれるよ。そうじゃなかったら諦めろ。いつかは経験することだ。  ……どっちにしても、気をつけろよ」 最後にやたらと重たい一言をつけて、佐伯先生は帰っていった。
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