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「響哉……っ」
私は響哉さんの手を掴む。
ふっと、我に返ったのか彼の力が抜けていく。
「……佐伯、お疲れ。
後は俺がやる。
ああ、俺と朝香さんが共演した映画のテープ、次に持ってきてくれない?」
響哉さんは疲れた声を搾り出す。
佐伯先生は何か言いたそうな顔をしたが、ふっと表情を緩めて私を見た。
「テープの手配は了解した。
明日は7時に迎えに来る。
花宮、嫌なときはちゃんと嫌だって言えばきっと、須藤だって分かってくれるよ。そうじゃなかったら諦めろ。いつかは経験することだ。
……どっちにしても、気をつけろよ」
最後にやたらと重たい一言をつけて、佐伯先生は帰っていった。
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