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会話もなく、夕食を食べるのがこんなに味気ないこととは思わなかった。
ただ、黙って食べ物を咀嚼する。
手間ひまかけて、一緒に作ったコロッケは間違いなくおいしいはずなのに。
まるで、砂を噛んでいるみたい。
「響哉……」
何度か頑張って呼びかけてみるけれど、そのたびに、恥ずかしくてフェイドアウトしてしまう。
年上の人を、急に呼び捨てにするなんて難易度高すぎるんだもの。
響哉さんはそのたびに、手を止めて私を見つめ
「好きなように呼んでくれて、大丈夫だから」
と繰り返すばかりで、それ以上の会話は続かない。
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