3 同棲の始まり

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「な、な、何するんですかっ」 真っ赤になって立ち上がる私を腕の中に抱きしめる様はとても見事。 ちょっとしたマジックでも見ている気分になる。 「アメリカ暮らしが長くって。 ほら、向こうじゃ挨拶代わりにキスだから。 ごめんね」 全くもって気持ちの篭らないごめんね、を言うと。 説明したから問題ないよね、と言わんばかりに私の頬にキスをする。 「……わ、私は日本暮らしなんだからっ」 既に、自分が口にしている言葉が日本語としておかしなことも分からなくなっていて。 真っ直ぐに見つめられる黒い瞳に吸い込まれそうになって、もう、どうしたらよいのか分からない。
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