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彼は、もうすぐぶつかりそうなきわどい距離でようやく動きを止めてくれた。
感じの良い香水の香りが鼻を掠めていく。
彼は瞳も閉じずに、その綺麗な顔にうっとりとした笑顔を浮かべる。
「いいよ。
俺も飢えた獣じゃないから。そうだね、マーサちゃんの許可が下りるまでは待ってあげる」
……えーっと、一生そんな許可なんて下ろす予定はございませんが?
だって、あれだよね?
言っても結構なオジサンだよね?
「あの……。どちらさまですか?」
「ほら、やっぱりうちのマーサは君の名前すら知らないじゃないか」
思わず雰囲気に飲まれていたのか、それまでリビングの出口で立ち尽くしていたお父さんが、ようやく唇を開いた。
……っていうか、お父さん。そこに居たなら助けて頂戴っ!今、相当娘は危機に陥っていましたけど~?
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