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真一と、朝香。
私が6歳のとき交通事故で亡くなった。
そんな実の両親の名前をさらりと言ったその男は、躊躇うことも無く私を自分の隣へと座らせる。
それから、テーブルに広げてある紙を見せた。
それは、私も見たことがある紙だ。
パパとママの遺言状。
二人の資産の一切を私に引き継ぐ、とか。
そういうことが書いてある。
その末尾。
『尚、長女 花宮真朝の後見人としては弟の花宮啓二を指名する。また、真朝の婚約者は須藤 響哉とする』
もちろん、啓二おじさんはパパの遺言どおりに私を引き取ってくれた。
でも……?
「誰よ、須藤 響哉(すどう きょうや)って」
「誰って、俺に決まってるじゃない?」
隣に居る紳士が甘い笑みを浮かべて言う。
自然に人の肩に手を回してこようとする図々しさはなんとかならないのっ!
私は慌ててその手を振り払う。
……いやいや、勝手にそんなことっ!
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