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彩香は入り口の扉に背中を預け、本気で置いて帰ろうかと思った。
「食べないなぁったら食べたいよぉ」
「なら食うか?」
変な音程つけて歌う小羽の背後の準備室から、音の声が聞こえた。
ヌッと、扉の向こうから現れたのは、強面の男子だった。
「あいつは確か…」
彩香は思い当たる男子の名前に、一瞬目を見開いたが、小羽はそんな彩香の態度に気付くこともなく、切り分けられるアップルパイによだれを垂らしそうな勢いで取り皿に入れられるのをじっと待っていた。
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