¶兄ちゃん¶

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シンプルな歌詞の中に想いが詰まってる気がした。 自然に涙が出て来た。 川村さんの早苗さんに対する想い。 川村さんに左利き用のギターをプレゼントして励まし続けた早苗さんの想い。 なのに 何て運命は残酷なんだ?! こんな結末を最初から用意されてるのか? 同じ病気の人の死。 共に励まし合い 眠れない夜は語り明かした仲間。 頼れる兄貴だった。 俺は怖くなった。 それまでは そんなに重病って受け止められずにいたから… 《転移》 この二文字が 俺の恐怖心をあおる。 いつか 俺も同じように 転移するんだろうか? 5年生存率30㌫~40㌫の中に入る事は出来るのか? 何年か後には もっと確率は上がるんだろうな… 死にたくねぇ… 「蓮クンは必ず治るからね、頑張るんだぞ! 俺が君の病気を持って行ってあげるから大丈夫だ!」 川村さんは そう言った。 強い人だと最初は思ってたけど 段々 弱って来て死を目前にした時 「まだ死にたくない」 と涙を流していた。 川村さんが亡くなった時 早苗さんは初めて声を張り上げて泣いていた。 「慎ちゃん! 慎ちゃん! 目を開けてよ! 私達、結婚するんでしょ?! 慎ちゃんっ!」 早苗さんの悲痛な声はまだ耳に残ってる。 志し半ばで亡くなった 兄ちゃんの分も 俺は絶対 克服してみせる! 俺は 今 目の前で嬉しそうに喜ぶ大切な人を あんな風に泣かせたくはない。 みぃの この笑顔を守りたい! 俺は転移なんてしない! 再発なんて絶対にない!
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