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何とも言い難い気持ちでいっぱいで無言になる俺と姉貴。
そんな時 担当医の松田先生が病室に入ってきた。
松田
「どうだい?
気分が悪いとか 痛みとかないかな?」
俺
「死ぬ程 寝たし 頭はスッキリしてるよ。
痛みはない。
動くと少し…
気持ちはスッキリしないけどな…」
松田
「…ああ…
千里ちゃんの事か…
残念だったよ…
千里ちゃん頑張ってたのに…
進行が早くて どうにもならなかったんだ。」
俺
「可哀相になぁ…
俺の肺の腫瘍は?
全部取れたの?」
松田
「見える部分は全て切除したよ。
後は引き続き抗がん剤使ったりして様子みて行こうね。」
…?!
一瞬?
松田先生と姉貴が目線を合わせた。
2人の表情が曇った気が…した?
気のせいか?
数日して 動けるようになった俺は
休憩所で ある中年の おじさんと話した。
おじさん
「兄ちゃんは 何処が悪いんだ?」
俺
「………」
おじさん
「俺はな…
毎日毎日 遅くまで働いて 休む暇もなかった。
タバコと酒の量ばかり増えてな…
軽い咳が出てたけど たいしたことないと思ってたんだ。
ある日 呼吸困難になって倒れて ここに運ばれた。
…肺癌と言われたよ。
…末期のな…」
俺
「肺癌?」
おじさん
「手術はした。
…いや… した と言うか…
ただ開胸しただけだな(笑)
レントゲンで確認した以上に実際は酷くてな
癌細胞の根が肺の奥まで入り込んでて 全部取る事は不可能だった。」
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