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銀髪の彼は背負っていた獣人族の兵士をお尻から落としたのだ。
ここに来る前、獣人族の兵士は再び鎧を着てきた。
どうやらまだ人間を信頼してないらしい。
「お尻いてぇ…いきなり落とせって言ってないだろ?」
「黙って寝とけ。
見張っててやるから」
彼は背負っていた荷物を木に置き、武器を担いで少し離れた。
大事な荷物を置いた事で獣人族の警戒感を解こうとしたのだ。
それを知ってか知らずか、獣人族は珍しく話しかけてきた。
「なあ、その武器あんま見かけないな」
「…ん?この銃槍か。軍でも扱える奴が少ないからな」
それで会話は終了となったらしく、銀髪の彼は遠くを眺め始め、獣人族はうとうとと寝始めた。
静寂が訪れ、サワサワと風が吹く。
(街に行って、医薬品をちゃんと買わないと…。今の道具ではした治療が出来ない…)
彼が思案にふけっている中、獣人族は薄目を開けて見ていた。
銀髪の人間は左目しかない。右目は黒い布を眼帯代わりにして覆っている。
黒のコートを羽織っていて、折りたたみ式の銃槍を肩に担いでいた。
(名前、聞いてなかった…)
そう思ったが、睡魔が襲ってきて寝てしまった。
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