504人が本棚に入れています
本棚に追加
「おい、起きろ」
「んん…あとちょっと…」
「駄目だ。風邪引くぞ」
彼の声にようやく覚醒した獣人族の兵士は飛び起き、ズザザッと距離をとる。
「て、てめぇ…今取って食おうとしたろ」
「誰が人肉を食うか…。それよりもう夜だ。静かにしろ」
彼の言葉に再三目を白黒させる獣人族。
「も、もう夜だとぉ!?………ずっと、待ってたのか?」
「…流石に夜風に当てる訳にはいかないからな。本当ならもっと安静にしておくべきなんだが…」
見た目によらず、面倒見がいい彼に獣人族はわずかに身じろぎする。
「だ、誰かに…ここまで親切にされた事なかったのによ…。なんつーか、ありがとう…」
「街まで夜通しで行く。おぶるから、そのままでいろ」
彼が近寄ろうとすると、獣人族は少し後ずさる。
また一歩あるけばまた後退する。
「ここに来るときは何も言わなかったクセに」
「う、うっせー!
冷静に判断出来なかったんだ!そんな事よりよ!てめぇ名前なんだよ」
獣人族は苦し紛れに話題の切り替えを試みた。
最初のコメントを投稿しよう!