第1話 女神様

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「おい、起きろ」 「んん…あとちょっと…」 「駄目だ。風邪引くぞ」 彼の声にようやく覚醒した獣人族の兵士は飛び起き、ズザザッと距離をとる。 「て、てめぇ…今取って食おうとしたろ」 「誰が人肉を食うか…。それよりもう夜だ。静かにしろ」 彼の言葉に再三目を白黒させる獣人族。 「も、もう夜だとぉ!?………ずっと、待ってたのか?」 「…流石に夜風に当てる訳にはいかないからな。本当ならもっと安静にしておくべきなんだが…」 見た目によらず、面倒見がいい彼に獣人族はわずかに身じろぎする。 「だ、誰かに…ここまで親切にされた事なかったのによ…。なんつーか、ありがとう…」 「街まで夜通しで行く。おぶるから、そのままでいろ」 彼が近寄ろうとすると、獣人族は少し後ずさる。 また一歩あるけばまた後退する。 「ここに来るときは何も言わなかったクセに」 「う、うっせー! 冷静に判断出来なかったんだ!そんな事よりよ!てめぇ名前なんだよ」 獣人族は苦し紛れに話題の切り替えを試みた。
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