15人が本棚に入れています
本棚に追加
§ § §
蓮がいる部屋から出た俺はすぐにリビングへ行き、入り口の近くにある子機を掴んでボタンを押す。
リビングにある大きなソファに腰掛けてからしばらく呼び出し音が数回鳴ったあと受話器から「もしもし」と聞こえた。
「ごめんフィロアさん、報告が遅れた」
電話の相手は<フィロア>さん…、俺が働く組織の一番偉い人だ。
『それくらいべつに構わない。それで、さっきの気配は?』
「あれはクリムゾンだったよ。でも、ここは魔界ではないし魔力も無いからね。見た目はそこらへんにいる犬とほぼ一緒の感じだったよ。まぁ、それもあってかすぐに逃げたけど」
『おいおい、見た目は問題じゃないだろ。
でも、クリムゾン並みのものが動き出したことはこっちも手を討たなければな…
あ、ちゃんと如月 蓮の保護は出来たか?』
フィロアさんは呆れた返事を返し、すぐに話を戻した。
もうちょっと反応してくれたらいいのに…
「あぁ、もちろん保護したよ。
でも、途中で気絶しちゃってさ…。
一応クロスさんの部屋に運んでおいたんだけどね」
『………大丈夫か?そんなことして』
クロスさん…もとい【CROSS】は、俺の上司でいろいろな仕事をこなしている人だ。
今はクリムゾンのような化け物の目撃情報や失踪事件をもとに調査をしているらしい。
我ながらに忙しい人だなと思う。
「まぁ、大丈夫大丈夫。でも多分今頃、あいつのクローゼットとか見てびっくりしてると思うよ」
笑いをこらえながらそう言った矢先、部屋から如月 蓮の叫び声が家中に響いた。
「嘘ぉお!?マジでかよ!!!!」
「あはははっ、ほらね?言った通りだったでしょ?」
さすがは如月 蓮、いい反応してくれた!
久しぶりにお腹が捩れるほど笑った気がする。
『そうだな。まぁ、それがファンとして普通の反応だと思うけどな』
「ぶ~、俺の小さな夢壊すなよ…。まぁいいけど」
『ふっ、せいぜい怪我だけはさせるなよ?』
「わかってるって」
§ § §
最初のコメントを投稿しよう!